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あさがお 

前庭に植えたアサガオがピンクの花を3つも咲かせた。日本の朝顔と違って,西洋のアサガオは「モーニンググローリー」は、ツルというのか、やたら太くて繊細とは程遠く、ジャングルのように、どんどん育つ。日本の朝顔は、なんだか俳句にもあるからか、私が勝手に繊細と思い込んでいるのかもしれない。あれも、水さえやれば、元気に育つ。





はるか、16年昔の話だが、私の実家にラドが始めて遊びに来た。5月だったかな?私はそのころ仕事をしていたので、ラドは昼間、母と二人で暇を持て余していたと思う。年中ジャングルの日本の実家の庭掃除を始めた。

梅雨も開けるといきなり、庭は緑色に勢いを増し、ヤブかが飛び回り、本格的なジャングルになる。スロバキアという湿度の低い涼しい土地から来たラドには、植物すら、知らない種類が多かった。

いっぽう。母は母で、ラドの両親がやってくる日に備えて、外から見える所だけに、朝顔の種を植えた。見栄っ張りというか、めんどくさがり屋なので、バカの一つ覚えで、夏と言えば、朝顔の種さえ蒔いておけばよい人だった。

梅雨が終わり、一度に芽をだし、双葉開いたことに安堵している矢先、ラドが雑草と間違えて、全部、引っこ抜いてしまった。これは、結婚前の大事件だった。

母は泣いた。そして拗ねた。

「せっかく、ラドの両親が来たときに、日本の花を見せようと思ったのに。」

決して許す言葉を発しなかった。

結婚は許せる。しかし、これだけは許せない。

「なんで、あんたの彼氏は朝顔を知らないの?」



日本に住んで、日本しか知らない母と、スロバキアに住んでいて、芋やピーマンを育てている彼。環境が違いすぎるのだ。

「わざとじゃないんだから。」

と、諭してみたが、

「わざとだったら、たまったもんじゃない。」

と、自分の部屋に入り込んで、私たちと顔を合わせようともしなくなった。困ったものだ。自分が中心に人生が回っているのだろう。


「もう抜いてしまったものは仕方がない。」

と、ラドも困り果てているが、もともと花に興味がないので、なぜそこまで母が怒っているのか、理解できない様子だった。なんせ、【花婿の両親を歓迎してくれる花】が想像できないだろうし、朝顔が日本の夏を強調、象徴するのだって、しらないのだもの。ラドは自分の失態への反省よりも、母のことを、あきれていたに違いない。


父?「そんなの勝手に怒らせておけ!」でしたね。

父ちゃん、そりゃないよ。
そう、私の実家は、フォローしてくれる人が誰もいないのだ。母が一度怒ったら、誰も手がつけられなかった。





まあ、何かしらあるって。人生は長いんだから。一生忘れられない、苦い思い出って、こうやって、こういう「ふっ」とした景色から、鮮明に蘇るんだぁ。ああ、胸がちょっと痛くなってきた。






私はラドを急かして、園芸店に行き、朝顔の代わりを探した。あまり時間がないから、すぐに花になるもの。見栄えのいいもの。。。。。そして私が買ったのは、赤い実のついた唐辛子だった。観賞用だと思うけど、小さくて、かわいらしい。これなら、いいかな?と、10束くらい買って、庭に植えた。雨戸の閉まった、母の部屋の前に。


その年は、初めて朝顔の咲かない夏だった。

母は、まだ現役で働いていたから、庭に出る時間なんてなかった。別の理由もあった。家の裏が森なので、ヤブ蚊がとにかく多く、刺されるのが嫌なのと、父が庭でビールを飲んでいるところに出くわしたくないからなのだ。

それでも唯一、朝顔だけは、種を買ってきて毎年新しいものに挑戦していた。実家の外の階段は茶色で柵が白い。外壁も洋風の白壁で、洒落ていた。植物が人間を見下ろしているように、白や紫色の大輪の朝顔が毎年並ぶ。そして、薄いピンクで、小ぶりの薔薇が咲き乱れる。実家の夏は「美しく」「夏の楽しみ」と近所のでも有名だった。そして、母にはそれが自慢でもあったのだ。その言葉を裏切らないように、毎晩、水やりをしていた。母は、ただ純粋なだけだった。


私はその頃、毎週土曜日に、東京の上智大学まで結婚講座を受けに行っていた。キリスト信者とそうでない人の結婚を教会で執り行うためには、信者と一緒に講座を受講し、結婚について考え、キリスト教を知っておかなくてはならなかった。

そこで講義をしていた神父さんに、ついこの悩みをもらしたことがある。母とラドの間に立たされ、辛かった。両方の気持ちも状況もわかるから、どっちの味方もできないというか。
「彼と私は問題ないんですけど、母がへそを曲げちゃって、、、、。」と、自分でもラド寄りの話し方をしたんだと思う。

神父さんは一言,「しょうがないなぁ。お母さんは、大人げないなぁ。でも、そういう人もいるんだよ。」

なんだか、そんな言葉で慰められた記憶がある。


母は私よりも年上で、すっと長く生きている。私にとって、父母は絶対的な存在だったはずだ。神父さんは確かに母よりも、10才くらいは年上だった。だから、自然に出た言葉なのかもしれない。

私は、それまで、母親を「大人げない」という言葉で表現しても良いというこを、考えたことすらなかった。してもいいんだ。そんなふうに、表現してもいいんだ。


些細なことだが、この神父さんの言葉は、私が大人になる、親離れをする一歩になったような気がする。


しばらくして、母も気がついた。
「庭に辛子を植えたのは、あんたたち?」

「うん、ラドと朝顔を探しに行ったんだけど、もうなかったよ。でも、赤いからかわいいでしょ?」

今までの私なら、多分捨て台詞を吐いて、母を怒らせたに違いない。でも、神父さんの言葉以来、母と同じ背の高さでおしゃべりができるような気がして、素直に正直に話す事ができるようになっていた。少しだけ、大人に近づいたかな?


「朝顔の代わりにはならないけど、食べられるかもね。」

母も私も「あさがお」という、禁句を、もう普通に自然に口にしていた。


そんな会話をしてから、数日後、母は庭で何かを植えていたようだった。


「大葉と、唐辛子。とても簡単に育てられるのよ!」


その夏以来、大葉の天ぷらが食卓に並び、冬には自家製の唐辛子が煮物などに大活躍をするようになった。



母から収穫の報告を聞いたのは、その翌年のことだった。

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今日もお付き合いありがとうございました。
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コメント

B9MOMさん

お忙しそうですね。

お母さんが日本からいらしている間って、旦那さんとはどんな感じでコミュニケーションしていますか?

母が私を思う気持ちというより、母の楽しみを私たちが奪ってしまったとしか、考えられない。未だに。

朝顔って、日本人にとっては、夏の特別な意味がありますからね。。。。

こんにちは!

なんとなくお母様の気持ち、わかりますよね。

私もこだわってしまうところがあって、たいしたことでも無くても、自分がこだわっていることを邪魔されたりすると物凄く傷つきます。

お母様、ラドさんのファミリーに日本に咲いている朝顔が見て欲しかったんでしょうね。
何はともあれ、お母様、ポンセさんを思っている気持ちに変わりはないですね。

golferさん

こっちは、昨日からやっと暖かさが戻って来ました。日中は20度を越えるようになりました。でも、夜が寒いですね。

昨日は布団を2枚かけて寝ました。

お宅の朝顔はどんな色ですか?
うちのは、ピンクと紫の予定です。

お久しぶりです。?
こちら今朝は10度、寒いです。
まあ、昼はやっと太陽がでましたが、、もうこんな天気3週間つづいていますが明日はいいかも。

朝顔もう咲きましたか、早いですね。
我が家もありますがまだ50cmぐらいです。

今このパソコンのキーボードが調子悪くメール書くのに時間かかります。

ばた

ほら、うちの庭って、桜の木の下にレース鉄の白い洒落たイスとテーブルがあって、そこでお父ちゃんがビールを飲んで、いたでしょ。

ドクダミと、雑草の茂る庭だからさ、誰の許可を得て、掃除をすればいいか?なんて、思いつかないよ。それに、あの母とラドが英語で話をするんだよ。二人のコミュニケーション能力、低いから、めんどくさ!で終わりよ。

でもさ、結婚式までその気まずさを引きずるのも、大人げないって、そこがね、人間としての器というかさ。


こっちで朝顔って、あまり見かけないんだよね。町でも、植えている家は珍しいの。

私の種は、こちらの動物園に咲いていた花の種をもらってきたんだ。すごく元気のいい朝顔です。
今度、写真にするね。

お母ちゃんの気持ちよく解るなぁ。私でもそれ位怒るぞ。ラドも悪気はないんだろうけど、聞いてからやれよ、と思うぞ、きっと。泣きたいのも解るよ、お母ちゃん。(お世話になったので絶対お母ちゃん側)

ポンセんちの朝顔の種貰った事あるよ。紫の。でも結局植えず終いできっとどこかにまだあるかも。
あれはお母ちゃんの朝顔だったんだね。

他人ですが、懐かしいなぁ、ポンセんちのご両親。

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